グレーゾーン金利を払えば借入れできる?

このページの最終更新日は2019年10月7日です

 

グレーゾーン金利という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、間違って理解している人が少なくありません。

 

中には、「グレーゾーン金利を払ってでもいいから、何とか借り入れできないだろうか?」と思っている人さえいます。

 

このページでは、グレーゾーン金利についてガッツリ解説してみたいと思います。


グレーゾーン金利はもう過去の産物

はじめに、結論めいたことを言ってしまいますが、
これからキャッシングする人には、グレーゾーン金利は全く関係ありません。

 

現在は、グレーゾーン金利というもの自体がもう存在しなくなったので、
このページのタイトルの質問そのものが意味をなしません。

 

まっとうな貸金業者の世界では死語になっているし、
いわゆるヤミ金(闇金融)の世界では、そもそもグレーな金利じゃなくて違法金利です。

 

とにかく、これからキャッシングを利用する人にとっては
グレーゾーン金利はないものと思ってもらって大丈夫です。

 

ただ、せっかくなので、過去の歴史を知ることも意味があるので、
グレーゾーン金利について次に説明してみたいと思います。
有利な条件で借りるための情報以外は興味ないね、というのでなければ、
続けて読んでもらえたらうれしいです。

 

グレーゾーン金利を1300文字で解説してみます!

グレーゾーン金利という言葉が生まれるもとになったのが利息制限法という法律です。

 

利息制限法は、お金の貸し借りをする際の金利として、
年率15〜20%を上限と定めています。
ちなみに、元本が10万円未満では20%、10万円以上100万円未満で18%、
100万円以上で15%が上限です。

 

で、グレーゾーン金利というやっかいな話が出てくるポイントがここなのですが、
利息制限法には罰則規定がありません。
つまり、上限金利を超えて貸付けを行っても業者は罰せられないということです。

 

『えー!そんな法律、意味ないじゃん!』と思ってしまいますが、
実際そうなんです(汗)

 

実は罰則規定がある法律は別にあって、
金利について罰則を定めているのは出資法(正式名称はムチャクチャ長ったらしいです)
という法律です。

 

2010年6月の改正前の出資法では、
貸金業者が貸付けを行う際の上限金利を29.2%と定めていて、
その金利を超えた貸付けを刑事罰の対象にしていました。

 

なので、業者が29.2%の金利で貸付けを実行した場合、
利息制限法の上限金利20%を超えるので違法な取引になるはずです。
でも、出資法の上限金利29.2%を越えていないので、
罰則の対象にはならないという、おかしな現象がおきてしまったというわけです。

 

このように利息制限法と出資法の上限金利の間には差ができていたため、
その差の部分の金利が、ホワイト(適法)ではないけれども、ブラック(犯罪)でもないことから、
どっちつかずという意味で、グレーゾーン金利と呼ばれるようになったわけです。

 

当然、業者としては、罰則がないなら29.2%で貸付けして利息を稼ごうとしますよね。
正直者はバカを見ますからね。

 

でも、中には正直者の業者がいても良さそうなのですが、実は正直者で優良な業者であっても、
後ろめたさを感じることなく堂々と違法金利29.2%で融資できた理由があるんです。

 

そのことが、さらに話を複雑にしているのですが、詳しく次で説明したいと思います。

 

グレーゾーン金利を正当化した貸金業法

話を複雑にしたのが何かと言うと、貸金業界を専門に規制する貸金業法です。

 

その貸金業法の中に、グレーゾーン金利の貸付けを合法に変えてしまう規定があったんです。

 

それは、みなし弁済と言うのですが、利息制限法の上限金利を超えていても、
一定の条件を備えた取引であれば有効な取引として認められていました。

 

その条件をココで説明してもあまり意味がないので省略しますが、
グレーゾーン金利というのは、有効なのか無効なのかよくわらない存在だったわけですが、
ある事件が起きるまでは、一応、違法ではなかったと言うことができます。

 

貸金業界を震撼させた最高裁判決

グレーゾーン金利が貸金業界で幅をきかせていられたのは、つい最近までです。
しかし、ある事件によって位置づけが180度変わることになりました。

 

2006年1月13日、最高裁判所が、「みなし弁済は原則として成立しない」として、
みなし弁済が成立する条件をムチャクチャ厳しく判断しました。

 

法律的に表現すると訳がわからない内容になってしまうので平たく言うと、
『グレーゾーン金利(利息の取りすぎ)は許されない』という判決でした。

 

その判決がきっかけになって、過去に払い過ぎたグレーゾーン金利にあたる利息を
取り戻そうとしている動きが、過払金返還請求というものです。

 

ということで、グレーゾーン金利は、今では実態がない、
ということだけ理解しておけば大丈夫です。

 

【参考情報】
最高裁判所第二小法廷 平成18年1月13日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52404

 

判決文独特のわかりにくい文章ですが、上記判決で、
『グレーゾーン金利(利息の取りすぎ)は許されない』
という部分にあたる箇所を抜粋して引用します。

 

(1) 法43条1項は,貸金業者が業として行う金銭消費貸借上の利息の契約に基づき,債務者が利息として支払った金銭の額が,利息の制限額を超える場合において,貸金業者が,貸金業に係る業務規制として定められた法17条1項及び18条1項所定の各要件を具備した各書面を交付する義務を遵守しているときには,その支払が任意に行われた場合に限って,例外的に,利息制限法1条1項の規定にかかわらず,制限超過部分の支払を有効な利息の債務の弁済とみなす旨を定めている。

 

貸金業者の業務の適正な運営を確保し,資金需要者等の利益の保護を図ること等を目的として貸金業に対する必要な規制等を定める法の趣旨,目的(法1条)等にかんがみると,法43条1項の規定の適用要件については,これを厳格に解釈すべきである(最高裁平成14年(受)第912号同16年2月20日第二小法廷判決・民集58巻2号380頁,最高裁平成15年(オ)第386号,同年(受)第390号同16年2月20日第二小法廷判決・民集58巻2号475頁参照)。

 

そうすると,法43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」とは,債務者が利息の契約に基づく利息の支払に充当されることを認識した上,自己の自由な意思によってこれを支払ったことをいい,債務者において,その支払った金銭の額が利息の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることまで認識していることを要しないと解される(最高裁昭和62年(オ)第1531号平成2年1月22日第二小法廷判決・民集44巻1号332頁参照)けれども,債務者が,事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には,制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものということはできず,法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。

 

(2) 本件期限の利益喪失特約がその文言どおりの効力を有するとすると,上告人A1は,支払期日に制限超過部分を含む約定利息の支払を怠った場合には,元本についての期限の利益を当然に喪失し,残元本全額及び経過利息を直ちに一括して支払う義務を負うことになる上,残元本全額に対して年29.2%の割合による遅延損害金を支払うべき義務も負うことになる。このような結果は,上告人A1に対し,期限の利益を喪失する等の不利益を避けるため,本来は利息制限法1条1項によって支払義務を負わない制限超過部分の支払を強制することとなるから,同項の趣旨に反し容認することができず,本件期限の利益喪失特約のうち,上告人A1が支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,同項の趣旨に反して無効であり,上告人A1は,支払期日に約定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば,制限超過部分の支払を怠ったとしても,期限の利益を喪失することはなく,支払期日に約定の元本又は利息の制限額の支払を怠った場合に限り,期限の利益を喪失するものと解するのが相当である。

 

そして,本件期限の利益喪失特約は,法律上は,上記のように一部無効であって,制限超過部分の支払を怠ったとしても期限の利益を喪失することはないけれども,この特約の存在は,通常,債務者に対し,支払期日に約定の元本と共に制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り,期限の利益を喪失し,残元本全額を直ちに一括して支払い,これに対する遅延損害金を支払うべき義務を負うことになるとの誤解を与え,その結果,このような不利益を回避するために,制限超過部分を支払うことを債務者に事実上強制することになるものというべきである。

 

したがって,本件期限の利益喪失特約の下で,債務者が,利息として,利息の制限額を超える額の金銭を支払った場合には,上記のような誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできないと解するのが相当である。

 




この記事の執筆者
ぜにぞう
資格 貸金業務取扱主任者
クレディッター(クレジット審査業務能力検定1級)
クレジット債権管理士
個人情報取扱主任者
ファイナンシャル・プランニング技能士(2級)
貸金業務取扱主任者資格試験 合格証明書
クレジット審査業務能力検定合格証

クレジット債権管理士資格認定証
個人情報取扱主任者 認定証

ファイナンシャル・プランニング技能検定2級合格証書
経歴 大学卒業後、銀行系クレジットカード会社に入社。債権回収・督促業務、営業、企画等の部署に従事し、審査システム、ローン開発なども広く経験。25年間勤務したのち47歳のときに早期退職。
退職後はフリーランスとして活動。インターネット上での情報発信、マーケティング、WEB集客に強み。退職後、50代でファイナンシャル・プランニング技能士(2級)を取得。
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