年金担保融資の実態と不正利用について解説

年金手帳でお金を借りられる?

最終更新日 2019年9月22日

 

年金手帳でお金を借りれる?」と検索する人のタイプは2つ。

 

ひとつは、年金を担保に融資してほしい。もうひとつは、他人に年金手帳を不正に利用されてお金を借りられたりしないか?という不安。

 

この2つのケースについて、詳しく見ていきたいと思います。

 

 

基本的に年金を担保にお金は借りられない

まずはじめに確認しておきたいのですが、
大前提として「年金を担保に融資を行うこと」は法律で禁止されています。

 

専門的に言うと違法年金担保融資対策法という法律が、
平成16年12月28日に施行されています。

 

この法律によって貸金業者は、
年金が振り込まれる銀行口座の預金通帳やキャッシュカード、
年金証書などの保管をする行為ができないんですね。

 

もし違反すると、
1年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金の罰則があるうえ、
行政処分を受けて、商売そのものができなくなります。

 

金融庁(違法年金担保融資対策法の成立)
https://www.fsa.go.jp/ordinary/nenkintanpo/index.html

 

なので、まともな業者では絶対にありえないことで、
年金手帳でお金を借りれるところがあるとすれば、
法律を無視して違法な商売をしている闇金融だけです。

 

ちなみに間違えないようにしたいのは、
違法になるのは、あくまでも「年金を担保にする融資」であること。
年金手帳を本人確認書類として使うことは可能です。

 

ただですね、何ごとにも例外があって、
国が年金担保融資を認めている機関があります。

 

それが、独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資です。
それでは、詳しく見ていきましょう。

 

福祉医療機構の年金担保融資

国民年金、厚生年金保険の年金を担保として融資することが、
法律で唯一認められた制度で、
独立行政法人福祉医療機構が取り扱う年金担保融資です。

 

使いみちは幅広くて、保健・医療、介護・福祉、住宅改修等、教育、
冠婚葬祭、事業維持、債務等の一括整理、生活必需物品の購入
などの支出のために、一時的に小口の資金が必要な場合に利用できます。

 

ちなみに、生活資金や旅行のための資金使途では利用できません。

 

制度の詳しい内容は以下の通りです。

 

対象者

次の証書をお持ちで、現在、その年金の支払いを受けている方
・国民年金証書
・厚生年金保険年金証書
・船員保険年金証書
・国民年金証書
・労働者災害補償保険年金証書
※生活保護受給中である場合など、利用できない条件があります

融資金額

10万円〜200万円の範囲内
※受給している年金の0.8倍以内
※1回あたりの返済額の15倍以内

貸付利率 年金担保貸付:2.8%(平成30年10月3日現在)
返済方法 独立行政法人福祉医療機構が、借入人の年金を年金支給機関から直接受け取ることによって行われます
担保 年金受給権(借入申込時に年金証書を取扱金融機関で預かり、引換えに「年金証書預り証」が発行されます)
連帯保証人 必要(信用保証機関の保証を利用する方法も有り)

 

申込み締切日から融資日までの期間は、だいたい4週間程度。
この制度による借入金の残高があるうちは、追加借入はできません。

 

あえて言うまでもないですが、
返済が終了するまでは、年金の一部(定額返済額)を
受け取ることができなくなります。

 

ですので、借りた後の生活の負担にならないように、
利用は慎重に行う必要があります。

 

借入申込みは、年金を受け取られている銀行、信用金庫等の店舗
(「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示)が窓口です。

 

申込みの際に、具体的な使いみちや必要な金額が
確認できる資料(見積書等)を提示する必要があります。

 

なお、この制度は令和4年3月末で申込受付を終了する予定になっています。

 

独立行政法人 福祉医療機構「融資制度のあらまし」
https://www.wam.go.jp/hp/guide-nenkin-outline-tabid-251/

 

【参考情報】

 

以前は、日本政策金融公庫の年金担保融資もありましたが、平成31年1月4日に融資の取扱いを終了しました。

 

恩給、共済年金や厚生年金(共済組合が支給する厚生年金に限る)、災害補償年金などを受けている人向けに、250万円を限度とする融資制度でした。

 

年金手帳を不正に利用されてお金を借りられることはない

年金手帳でお金を借りれるところがあるとすれば、
法律を無視して違法な商売をしている闇金融だけ、
と説明しましたよね。

 

ということは、他人が自分の年金手帳を不正に使って、
お金を借りることってできるんじゃないか?
と思ってしまっても自然なこと。

 

Q&Aサイトを見ていても、そのような投稿が目につきます。

 

例えば、

社員の年金手帳を会社が管理しているんだけれど、会社が資金繰りに困っているので、保管している社員の年金手帳で、消費者金融からお金を借りられてしまわないか不安

とか、

インターネット上のサービス利用時に、年齢認証として年金手帳の基礎年金番号・氏名を写メに撮って、送ってしまったことがあり不正に使用されないか心配

など。

 

ただ、不安になる気持ちはわかりますが、基本的にはありえません。
なぜなら、そもそも本人以外の申込みは受け付けないし、
物理的に年金手帳だけでは、融資できないから。

 

闇金であっても本人確認は必ずします。
どこの馬の骨ともわからない人が、
他人の年金手帳を持ってきて「さあ、金を貸してくれ」と言ったって、
貸すはずがないんです。

 

それに、年金手帳に書いてある年金番号だけを頼りに、
融資するアホな業者はいません。

 

年金が振り込まれる銀行口座の預金通帳やキャッシュカードを、
強制的に巻き上げていつでも年金を引き出せる保険があるから、
出来ることなんですね。

 

いくら違法業者であっても、回収できる算段がつかない融資はしません。

 

まとめ

「年金を担保に融資を行うこと」は法律で禁止されているので、
年金手帳でお金を借りられることは基本的にありません。

 

ただ、例外として唯一、国が認めているのが、
独立行政法人福祉医療機構が取り扱っている年金担保融資。

 

使いみちは広く、一時的に小口の資金が必要な場合に、
10万円〜200万円の範囲内で利用することができます。

 

なお、年金手帳の所有者である本人の申し出でない限り、
融資は成立しないので、
他人に年金手帳を不正に利用されて、お金を借りられることも
基本的にありません。

 

福祉医療機構の年金担保融資が、
令和4年3月末で申込受付を終了することが決まっているように、
年金生活者に対する融資は人道的にNGという流れになっています。

 




この記事の執筆者
ぜにぞう
資格 貸金業務取扱主任者
クレディッター(クレジット審査業務能力検定1級)
クレジット債権管理士
個人情報取扱主任者
ファイナンシャル・プランニング技能士(2級)
貸金業務取扱主任者資格試験 合格証明書
クレジット審査業務能力検定合格証

クレジット債権管理士資格認定証
個人情報取扱主任者 認定証

ファイナンシャル・プランニング技能検定2級合格証書
経歴 大学卒業後、銀行系クレジットカード会社に入社。債権回収・督促業務、営業、企画等の部署に従事し、審査システム、ローン開発なども広く経験。25年間勤務したのち47歳のときに早期退職。
退職後はフリーランスとして活動。インターネット上での情報発信、マーケティング、WEB集客に強み。退職後、50代でファイナンシャル・プランニング技能士(2級)を取得。
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