学生ローンに潜む危険性、貸金業務取扱主任者が解説

公開日: 2019年12月13日

 

大学生の立場でローンに手を染めるのは、ちょっとやばいかもとか、やめたほうがいいと思いながらも、借りることを検討している人が少なくありません。

 

それぞれ抱える事情が違うので、頭ごなしに良くないとは決めつけられません。でも、総じて学生ローンの危険性を知らずに安易に利用してしまうケースが多いことを考えると、なんとか止めないといけません。

 

そこでこのページでは、貸金業務取扱主任者でありFPでもあるぜにぞうが、25年間にわたる貸金業者の現場経験も踏まえながら、学生ローンはやめたほうがいい理由を解説します。

 

 

乱立する学生ローン業者

ぜにぞうが学生時代だった30年前には、人目を避けるようにひっそりと営業していた学生ローン業者が、今ではむしろ人目のつくところに看板を出し、堂々と商売をしています。

 

地方ではあまり目にしませんが、東京・高田馬場だけでも知名度の高いところを並べると、以下のように学生ローン業者が乱立しています。

 

▼東京・高田馬場にある主な学生ローン業者

  • カレッヂ
  • フレンド田(デン)
  • イー・キャンパス
  • アミーゴ
  • キャンパス
  • マルイ
  • 学灯社

 

東京・高田馬場は、学生ローンが生まれた場所とも言われているくらいなので、乱立する特殊事情を持っているのですが、これだけの数の業者が狭いエリアに競合して存在し続けているのは、ニーズが絶えない証拠です。

 

しかし、健全な資金ニーズだけで、ここまで学生ローン業者の商売が栄えることは考えにくく、軽い気持ちで後先考えずに借りてしまう学生が多いことが容易に想像できます。

 

そこで、学生ローンの危険性を再認識するため、借りてはいけない理由を具体的に見ていきたいと思います。

 

学生ローンを借りてはいけない理由

では、なぜ学生ローンを借りてはいけないのか?

 

もちろん、止むに止まれぬ事情で借りざるをえないこともありますが、以下のリスクを知っておく必要があります。

  1. 高金利のため借金から抜け出せなくなる
  2. 利息のみの返済プランはかなりやばい
  3. 自分の信用情報に傷がつく
  4. ローンの利子よりも高い遅延損害金
  5. 学生ローンを装った闇金融業者
  6. 小規模の業者が多く経営が不安定

 

ひとつずつ詳しく見ていきたいと思います。

 

高金利のため借金から抜け出せなくなる

学生ローン専門店の平均的な金利は実質年率17.0%。冒頭で登場した東京・高田馬場の学生ローン業者を個別に見てみると以下のようになっています。

 

業者 金利(実質年率)
カレッヂ 17.00%
フレンド田(デン) 17.00%
イー・キャンパス 14.5%~16.5%
アミーゴ 14.40%~16.80%
キャンパス 16.80%
マルイ 15.0%~17.0%
学灯社 16.5%~18.0%

 

学生ローン業者のホームページに行くと、大手消費者金融と比較して低金利であることをアピールしています。

 

確かに大手消費者金融の上限金利は、標準で年利18.0%なので、学生ローンの方が1%程度金利が低いことは事実。でもこれは誤差というべきです。

 

アルバイトで月数万円のわずかな収入の学生が、月々安定して数十万円稼ぐ社会人とほぼ同等の金利でお金を借りることの危うさは、考えずともわかります。

 

比較対象として適切でないかもしれませんが、代表的な奨学金制度である日本学生支援機構の貸与型が1%を切る利率、金融機関の教育ローンが3~4%台。この水準で学生生活に必要な資金を得られることと比較したら暴利です。

 

さらに、コストは利子だけではありません。返済する場合の銀行振込手数料も負担することになります。

 

そういうことを考えると、利息を支払っていくのがやっとで、いつまでたっても元金が減らず、借金から抜け出せなくなることが容易に想像できます。

 

利息のみの返済プランはかなりやばい

学生ローン業者の中には、返済方式として元金自由返済プランを用意していることがあります。

 

これは文字通り、余裕のあるときに元金を1円単位で返済すればいいですよ~というもの。つまり、1ヶ月に1度、利息さえ支払っておけばOKということ。

 

毎月の返済金額を業者側で一方的に決められることがなく、自分の都合に合わせて、自由に返済金額を決められるのは、ユーザーのメリットではあります。

 

ただですね、人って弱い生き物です。返済金額は最低これだけでいいですよ、と言われたら、それ以上の努力はなかなかしません。楽な方に流されてしまいます。

 

そして、結局、元金がいつまでたっても減ることがなく、完済できないという本当にやばい状態に陥ってしまいます。

 

自分の信用情報に傷がつく

学生ローンでお金を借りると必ず信用情報機関にその取引履歴が登録されます。それは、消費者金融でも銀行からの融資でも同じです。

 

ただ、どこから借りても信用情報機関に登録されるのは同じだといっても、学生ローンは特別な意味を持ちます。その理由を説明します。

 

まず、信用情報機関には学生ローンの借り入れ中はもちろんのこと、完済してからも5年間その情報が残ります。なので、在学中に完済したとしても、卒業後も学生ローンを借りた事実は消えません。

 

そしてポイントになるのが、信用情報機関に加盟している他の業者も、その情報を見ることができる点です。ローン審査では必ず信用情報機関の情報を業者は閲覧するので、卒業後、社会人として別のローンを組む際の審査で発見されます。

 

発見されたときに、国や金融機関の教育ローンのように、健全な融資であれば問題にはなりませんが、学生ローンだという点が問題。

 

学生時代に親の援助やアルバイト収入では足らずに、年利17%もの高金利でお金を借りるような人を審査担当者がどう評価するか?怪しい情報はマイナス評価につながります。

 

学生ローンを利用して、その後の就職や結婚のときに過去の借金履歴が漏れることは基本的にありませんが、「学生時代に消費者金融並みの金利で借金した人」というレッテルを貼られるリスクがあることは知っておく必要があります。

 

ローンの利子よりも高い遅延損害金

うっかり忘れも含めて、毎月の返済が遅れてしまうことも珍しくありません。そして問題なのが、返済が遅れてしまったときに、何日か遅れても払えば問題ないでしょ?と軽く考えてしまうこと。

 

でも、返済が遅れれば当然ペナルティーがあるわけで、遅延損害金と言って年率20.0%の罰則金を徴収されます。ローンの金利よりも高い利率で、しかもローン利息とは別に取られることになります。

 

最悪なのが、延滞に慣れてしまうこと。遅延損害金を払えばいいんでしょ?などと平気になってしまう人の行く末は、1カ月も2カ月も滞ってしまいます。

 

そうなると、金融事故情報として信用情報機関に登録されてしまい、審査に通ることはありません。住宅ローンのような人生を左右する重要な資金も得られなくなってしまうのは致命傷です。

 

学生ローンを装った闇金融業者がいる

法で定められた貸金業登録をせず、違法に営業するいわゆる闇金融業者は、人の弱みに付け込んできます。それは学生ローンの分野も同じ。

 

信用力の高くない学生をターゲットにするのは、闇金融と言えどもリスクがあるはずですが、実は学生は社会人よりもリスクが低いという側面もあります。それは親の存在です。

 

最終的に支払いできない状態になったら、学生本人は親に泣きつくでしょうし、親からしたら社会人の子供と違って、学生の子供の借金は、なんやかんや言っても最終的にはしりぬぐいをするのが常です。

 

それがわかっているからこそ、保険がかかっている学生を貸し倒れが少ないお客として、闇金業者は甘い言葉で近づいてきます。

 

小規模の業者が多く経営が不安定

学生ローン業者は、基本的に商売の規模が小さいです。大手消費者金融のように全国展開しているわけではなく、地域密着型の小規模経営です。

 

どんな業種も小規模経営の会社は基本的に経営が不安定。うまく行っているうちは良くても、歯車が狂うとあっという間に経営が傾きます。学生相手の商売はそんなリスクをはらんでいます。

 

普段はソフトな対応の業者も、経営が傾いてくると取り立て姿勢が変わることは否めません。貸金業法で取り立て行為を厳しく規制されていますが、恐ろしさは感じることになります。

 

先の東京・高田馬場にある学生ローン業者は創業30年を超える業者も少なくありません。下図のように昭和60年当時、5万社弱あった貸金業者が、令和元年には1700社まで激減した中で今もなお残っている業者なので、基盤は強固かもしれません。

 

昭和59年から令和元年までの貸金業者数の推移
情報元:昭和59年から令和元年までの貸金業者数の推移|金融庁

 

 

でも、業歴の浅い業者も存在するうえ、たとえ老舗の業者であったとしても、今後も変わらずずっと安泰というわけではありません。

 

ローンに手を出さないように注意したいこと

学生ローンを借りてはいけない理由がわかっていても、甘い誘惑に負けて手を出してしまうことがあります。

 

その代表的なこととして注意点を2つあげます。

 

儲け話、投資話といった類は危険

お金がない、もっとほしいと思っているところにタイミングよく儲け話、投資話が舞い込んできたら、おそらく数パーセントの人は洗脳されてしまうと思います。

 

お金にはそういう魔力があるので、儲け話、投資話といった類の話は詐欺だと思って近づかないのが大事。そんな甘い話、世の中にはないですから。

 

特に注意したいのが投資系マルチ商法。SNSで知り合ったばかりの人の話なら警戒できても、身近な友人などから話を持ち掛けられて「必ず儲かる」と言われたら、気持ちが揺らぎかねません。

 

実はその友人もだまされている可能性が高く、友人を誘うことで知らぬ間に加害者になってしまうケースもあります。

 

実際に以下のような事例が東京都内で発生しました。投資会社が大学の友人関係を利用し、高額商品を購入させるために学生ローンで借金させた事例です。

 

事業者は、商品を購入した大学生(勧誘者)を使い、「20代で稼いでいるすごい人がいる。就活の勉強になるから話を聞かせたい。」などと言って、勧誘者の友人(大学生)を喫茶店へ誘い出し、56万円の投資用DVDの勧誘をしていました。また、お金がないと断る大学生に消費者金融や学生ローンで借金をさせ、契約を締結していました。

出典)大学生に借金をさせ投資用DVDを販売した事業者を処分|東京都
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2014/11/20obr900.htm

 

行列ができる学生ローン業者だからといって安心しない

なにごとにも言えますが、少し迷ったときに周囲の様子を見て、それに合わせておけば安心と考えることってありますよね。「みんなで渡れば怖くない」的な考えです。

 

以前、学生ローン専門店に行列を作る光景がネットニュース記事に取り上げられたことがあります。

 

学生ローンはやばいと思っていても、そんな光景を見たら「みんな平気で借りるんだ。なら安心」とばかりにぐっとガードを下げてしまいがち。ぜひ、周囲に流されずにしっかりした自分のモノサシを持ってほしいです。

 

「お金が足りないから借りる」を封印する

いろんな状況下の学生がいるので、一概にはいえませんが、それでも「お金が足りないから借りるではなく、お金がないならもっと稼ぐ、稼げないならあきらめる」発想を持ちたい。

 

資格取得や運転免許資格のためにローンを組むのは一見健全に見えますが、それでもやめた方がいい。お金をためてからやるべき。学生のうちはです。

 

収入を増やすことができないなら、出ていくお金をセーブすることならできるはず。それも同じ効果が得られますよね。携帯電話のプラン変更をするだけで、年間で万円単位で節約は可能。不要な支出を軽減するだけでも結構違います。

 

まとめ

学生ローンがなくならないのは、その危険性を知らずに安易に利用してしまっているから。学生ローンはやめておいたほうがいい理由を再確認しよう。

  • 高金利のため借金から抜け出せなくなる
  • 利息のみの返済プランはかなりやばい
  • 自分の信用情報に傷がつく
  • ローンの利子よりも高い遅延損害金
  • 学生ローンを装った闇金融業者
  • 小規模の業者が多く経営が不安定

上記のことを意識するとともに、ふりかかってくる儲け話や投資話には近づかないのが賢明。そして、お金が足りないから借りる、という発想は捨て、自分の手が届く範囲で最善を尽くそう!

 



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この記事の執筆者
ぜにぞう
資格 貸金業務取扱主任者
2級FP技能士
クレジット債権管理士
クレジット審査業務能力検定(クレディッター)
個人情報取扱主任者
貸金業務取扱主任者 登録完了通知
ファイナンシャル・プランニング技能検定2級合格証書

経歴 大学卒業後、銀行系クレジットカード会社に入社。債権回収・督促業務、営業、企画等の部署に従事し、審査システム、ローン開発なども広く経験。25年間勤務したのち47歳のときに早期退職。
退職後はフリーランスとして活動。インターネット上での情報発信、マーケティング、WEB集客に強み。退職後、50代でファイナンシャル・プランニング技能士(2級)を取得。
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