わっぱの会、のわみ相談所が中心になってかけこみ緊急資金を貸与するソーネ基金

生活が立ち行かなくなりそうなとき、かけこむ先として頭に浮かびやすいのが消費者金融などの貸金業者。でも、なにも消費者金融がすべてではなく、生活福祉資金貸付制度という公的な制度があり、低所得者等に低利もしくは無利子で貸付けしてくれます。

ただ、その生活福祉資金貸付制度も万能ではなく、利用には一定の条件があったり、貸付までの期間がかかったりします。

そういった背景の中で、貧困支援に取り組む愛知県内の市民団体が、公的な貸付制度でも救えない人たちの受け皿として、地域共同基金「ソーネ基金」を設立しました(2019年11月)。

全国的にも珍しい取り組みで、今後、他の地域への波及や、公的な貸付制度へよい影響をもたらすかもしれないソーネ基金の概要を紹介します。

ソーネ基金とは?

ソーネ基金は、貧困支援に取り組んでいる愛知県内の市民団体が、かけこみで緊急資金が必要な生活困窮者に、貸し付けを行なうために設立した地域共同基金です。

名古屋市北区のNPO法人「わっぱの会」と、一宮市の困窮者支援組織「のわみ相談所」が中心となり、福祉系NPO法人など28団体の賛同を得ての設立となりました(2019年11月)。

公的な貸出制度でも救えない人たちがたくさんいるという実態が、設立の動機として大きかったようで、放置しておくとホームレスや生活保護受給者となってしまう人への支援を想定。活動開始は2020年春の予定です。

考えられている貸し出しの方法

貸出制度の詳しい内容はまだ明らかになっていませんが、考え方としては、貸し出しは無利子で数万円からの小口としたいようです。

貸し出しを業務として行う場合は、貸金業法で定める貸金業登録が必要になります。そのため、この記事の執筆時点では、2020年が明けてから社団法人を設立し、貸金事業を行うための出資金を集めて、2020年度中の貸金業登録を目指しています。

設立から貸金業登録までしばらく期間が空きますが、その期間は、わっぱの会が運営する社会福祉法人で、貸金業登録が不要な小規模の貸し出しを始める方針のようです。

生活福祉資金貸付制度でも救えない人がいるのはなぜ?

ソーネ基金の設立に至った背景に、公的な貸付制度でも救われない人の実態があったわけですが、なぜ生活困窮者を支援するはずの公的な貸付制度が役に立たないのか?

それには、次の3つのことが考えられます。

  • 一定以上の収入があると借りることができない
  • 緊急時でも収入の見通しがないと貸してもらえない
  • 手続きに時間がかかる

経済的弱者を支援することを目的としているといっても、誰でも無条件で借りられるわけではない点がまずひとつ。民間とは逆で一定以上の収入があると借りることができませんが、おおよその目安をいうと、市町村民税が非課税になる程度の収入の少ない方が対象になってきます。

2つ目として、収入の見通しがないと貸してもらえません。つまり、現在、仕事についているか、無職であるなら自立相談支援事業といって、職につくためのプログラムに参加することが条件になっています。

仮に仕事を持っていたとしても、生活困窮者の多くはパートや派遣など収入が不安定で、電話が料金未納でつながらなくなると仕事もできなくなります。そういう緊急のときに利用できないのは残念です。

そして、3つ目として、手続きに時間がかかるという点も救われない人が多い理由だと、ぜにぞうは考えています。

ちなみに、生活福祉資金貸付の種類には以下のようなものがあります。

▼生活福祉資金の種類
資金の種類 資金の目的
総合支援資金 生活支援費 生活再建までに必要な生活費用
住宅入居費 敷金、礼金など住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用
一時生活再建費 生活再建のために一時的に必要で日常生活費でまかなえない費用
福祉資金 福祉費 病気療養、住宅の増改築や補修、福祉用具の購入、介護サービスや障害者サービスを受けるために必要な経費など
緊急小口資金 緊急かつ一時的に生計維持が困難となった場合に貸し付ける少額の費用
教育支援資金 教育支援費 低所得者世帯の子どもが修学するために必要な経費
就学支度費 低所得者世帯の子どもが入学する際に必要な経費
不動産担保型生活資金 不動産担保型生活資金 低所得の高齢者世帯に対し居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金
要保護世帯向け不動産担保型生活資金 要保護の高齢者世帯に対し居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金

(参考)厚生労働省 生活福祉資金貸付条件等一覧

上表の「緊急小口資金」のように、緊急という名称がついている貸付けでさえ、前に述べたような利用条件があり万能ではありません。

生活福祉資金貸付制度が公的な制度と言っても、どこかで線を引かざるを得ないものなので、そこを補完するソーネ基金のような草の根の力が今後注目です。