闇金融は今も変わらず実在する
漫画、映画、ドラマなどで目にする闇金融。かなり過激なシーンを見たりすると、あくまでもフィクションであって実在しない世界と思う人がいるかもしれません。
しかし、そこまでの過激さはないとしても、闇金は今も本当に実在しています。
警察の取り締まりなどによってだいぶ数は減ったものの、貸金業法という法律で過剰融資が抑止される仕組みができたことで、逆に貸金業者からお金を借りられない人の受け皿としてその存在は消えることがありません。
近寄るつもりはなくても、闇金融は身近なところに潜んでいるので、無意識のうちに近づいてしまいがち。そこでこのページでは、闇金融の実態を知り身を守るための最低限の知識を解説します。
闇金とは?
貸金業を営む場合には、貸金業者としての登録が必要です。闇金はこうした金融業者に義務付けられている法律上の貸金業登録を行わずに(貸金業登録を行っている場合もある)、違法に金銭の貸付けを行う金融業者のことをいいます。
メチャクチャ高い違法な金利で融資を行うだけでなく、悪質な手口で回収をくわだてるなど、法律を無視した商売なので日の当たるところをさけ、闇で商売している金融業者であることから闇金と呼ばれています。
基本、法律なんてクソくらえ!というスタンスなので、一度借りたらなにかと理由をつけて返済や融資を繰り返させ完済させてくれず、出口のない返済をする生活がずっと続いてしまいます。
闇金の恐ろしい正体
闇金の怖さは何となく分かっていても、それはテレビドラマの中のことで、実際には消費者金融に毛が生えた程度でしょ?と軽く見ているととんでもない目に合います。
闇の金融と言われるくらいなので、まるで法律など関係ないかのように水面下でうごめいているのが闇金です。例えば金利ですが、出資法という罰則のある法律に違反する高金利で貸付し、暴利をむさぼります。
出資法で定められている上限金利は年率20%ですが、「トイチ」といって10日で1割の利子というとんでもない金利で融資します。
これがどれくらいふざけた金利かというと、10日で10%ということは、30日だと30%、1年つまり年率でいうと300%を超えるという計算になります。法律で決められている上限が年率20%なので、とんでもない水準なのかが分かると思います。
取立て行為もハンパない
もちろん、違法なのは金利だけではなく、取り立ても完全に法律を無視した行動をとります。
例えば、
- 夜間に何十回も電話をかけてくる
- 自宅に大勢で押しかけてわめきちらす
- 勤務先に督促だと分かるように嫌がらせの電話をかける
これらはすべて法律で禁止されている行為ですが、そんなのお構いなしです。
もっとエスカレートすると、子供が通っている学校の校門の前で待ちぶせする等々、テレビドラマで見る以上のことを平気でやってきます。ココでは書ききれないほど闇金の怖さは他にもたくさんあるのが実状です。
「闇金の危うさは、お前に言われなくとも分かっているよ!」と言われてしまうかもしれませんが、総量規制によって正規のルートでお金を借りにくくなると、ワラにもすがる気持ちになって、手を出してしまうのが人間の弱さです。
闇金融は身近なところに潜んでいる
「闇金の怖さは分かっているから、俺はそんなトコから借りないよ!」と思っていても、闇金融は身近なところに潜んでいるので、無意識のうちに近づいてしまうことが多いです。
街頭のチラシはほぼ間違いなく闇金
自宅のポストに投げ込まれたチラシや、電話ボックス、電柱に貼られた告知ポスターも注意が必要です。電話ボックス、電柱に連絡先の携帯電話番号を記載した張り紙やチラシを見たことがあるかもしれませんが、それは090金融と呼ばれていて、100%間違いなく闇金です。
貸金業法では、業者が広告を出す場合には必ず固定電話番号を掲載しなくてはいけないことになっているので、携帯電話で受付を行っている時点でその業者は貸金業登録をしていない違法業者です。
雑誌やスポーツ新聞などの広告も危ない
雑誌やスポーツ新聞などの広告にも闇金が潜んでいることがあります。闇金は水面下の業者なので、まさか雑誌やスポーツ新聞といった公のものにその存在を現すはずがないと思ってしまうし、広告を出せる=資金力があると思って安心してしまいますが、高い確率で闇金が紛れ込んでいます。
ダイレクトメールで勧誘する闇金
ごていねいにダイレクトメールで融資を誘ってくるのも闇金の手口です。個人情報を入手するルートはいろいろとあるのですが、お金をかけず合法に取集できる情報元が官報(かんぽう)です。
官報というのは、国の重要な事柄を国民に知らせるために政府が発行する新聞のようなもので、そこには自己破産や個人再生をした人の名前や住所が掲載されます。官報は一般の僕らにはなじみが薄いのですが、だれでも簡単に見れるのでその情報を元に闇金業者はダイレクトメールを送りつけてきます。
まともな貸金業者なら貸付を断るための材料になるはずのリストが、闇金業者にとっては見込み客リストになるというわけです。
闇金のココが怖い
闇金に手を出す人の多くが、「少し金利が高くてもきちんと返済すれば、恐ろしい目にはあわないだろう」などと考えます。ただ、実際には思うように返済できない、というか返済させてくれないことすらあります。
借金を返せなくなってからが闇金の本当の恐ろしさです。例をあげればキリがありませんが代表的なものを紹介します。
完済させない
闇金は返済日がきても請求してこないことがあります。借りる側としてはお金に困っているわけなので、請求してこないとホッとしてしまうのですが、これは闇金業者の作戦です。
こちらから電話してもつながらなかったり、担当者が不在という理由をつけて返済するための連絡がとれないようにします。返済口座を教えてもらうことすらできないので、どんどん利息が積みあがっていきますよね。
そうすると、利息を返済するのが精一杯な状態になるので、利息分だけ支払って返済の延期をする(これを業界用語で「ジャンプ」といいます)ことが繰り返され、いつまでたっても元金が減らず完済できない地獄に突き落とされることになります。
脅し・嫌がらせ・悪質な取り立て
闇金はお金を借りるまではやさしいのですが、いざ返済できなくなると、人を人とも思わないひれつなやり方で回収しようとします。代表的なものには次のようなものがあります。
- 時間を問わず1日に何度も電話をかける
- 職場や家族に対する嫌がらせの電話
- 家族への取り立て
- お客の名前と住所でデリバリーを注文
- 自宅周辺に嫌がらせの張り紙をする
怪しいと感じたら闇金業者でないかすぐ確認しよう
正規の貸金業者であれば、認可申請し登録を受けたときに発行される固有の登録番号が交付されます。
この貸金業登録番号は、事務所入口の見やすいところや印刷物、ホームページなど顧客が目にする場所に掲示することが義務付けられています。
万一、この登録番号が見当たらない場合は、金融庁サイトにある「登録貸金業者情報検索サービス」を利用して、正規の貸金業者であるか調べるようにしてください。
金融庁|登録貸金業者情報検索サービス
https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/
ただ、金融庁が保有している貸金業者リストに載っていれば安心できるかというと必ずしもそうではなく、実在する業者やその関連会社を装ったり、無登録でありながら貸金業登録番号を詐称している悪質業者も存在します。
そういう業者を見極める手段として、日本貸金業協会のサイトに、悪質な勧誘等が判明した業者を検索できるデータベースがあり、業者名や被害内容・勧誘手口をチェックすることができます。
日本貸金業協会|ヤミ金(悪質業者)検索
https://www.j-fsa.or.jp/personal/bad_contractor/search/
金融庁の検索サービスに加え、日本貸金業協会の「ヤミ金(悪質業者)検索」を併用することをおすすめします。
闇金被害の実例
闇金融業者の手口はたくさんあるため、ここでそのすべてを紹介することはできません。そこで代表的なよくあるケースを2つ紹介します。
いずれも普通に考えれば、「そんなおいしい話はない」とわかるものばかりです。窮地に立たされているときには冷静さを失ってしまうものなので、以下の事例を参考にして、普段から類似するケースに気をつけましょう。
事例1
家計のやりくりに困っていた50代男性Aさんが、WEBサイトでみつけた有名クレジット会社の関連会社を思わせる社名の貸金業者に融資を申込んだ。
すると、業者から連絡があり、信用状況を確認したいので、大手消費者金融で借入れするように指示される。
大手消費者金融から借りられるように業者から根回ししておくとの話に安心したAさんは、指示通りに20万円の借入れを行った。
そして業者に連絡すると、郵便局でレターパックを使い、借入れした現金20万円、契約書、領収書などすべてを送るように指示されたためそのとおり送った。
しかしその後、業者から融資の実行はなく連絡も取れなくなった。
事例2
消費者金融から200万円(金利年18%)の借入れがある50代女性のBさんのもとに、無名の貸金業者から、「金利1.7%で融資します」と書かれたダイレクトメールが届く。
利息支払いで元金が一向に減らないことを悩んでいたBさんとしては、借り換えの絶好のチャンスだと思い、200万円の融資を申し込んだ。
業者からの連絡を待っていたところ、後日、なんの前触れもなく業者からBさんの銀行口座に2万円の振込があり、その1週間後に突然、5万円振り込め(返済しろ)との連絡があった。
Bさんがそんな大金を支払えないと答えたところ、Bさんの親に35万円の請求をされ、さらにBさんの子供が働いている職場に「金を返せ」などといった嫌がらせのFAXが50枚も届いた。
まとめ
闇金の被害に合う人のほとんどが、何社か申込みをして審査落ちになった時点で、もう表社会で頼るところがない=残る手段は闇金だけ、という流れになっています。
闇金融を利用すると人生が終わります。そう断言して過言ではありません。自分自身の身を滅ぼすことはもちろんのこと、家族や友人にも影響が及び関わる人を不幸にします。
もし今、あなたが闇金の利用を考えているなら、この記事で闇金の危険性を知り、闇金に行かずに踏みとどまってもらえるきっかけになれば幸いです。