キャッシングについてわかりやすく解説
更新日:2020年3月23日
一昔前にサラ金地獄などと呼ばれ、キャッシングを重ねることで返済が困難になり、自己破産する人が多く出た時代がありました。厳しい取り立てなども社会問題になりましたね。
そんな歴史があるので、キャッシングすることはいけないこと、恥ずかしいこと、というネガティブなイメージがついているのではないでしょうか。
しかし、現在は過去の経験を踏まえて法律が整備され、利用者にやさしく、融資する側に厳しい体制になっています。消費者側が一方的に不利益をこうむることはありませんし、テレビCMなどの効果で以前のような悪いイメージがありません。
ただ、逆に利用しやすい環境であるがゆえに、安易な考えで気軽に利用してしまうと、借金で首が回らなくなるケースがあることも事実です。
そこで、このページではキャッシングの基礎知識をわかりやすく解説します。リスクを過剰に気にして利用をためらっている人は、安心して賢く使いこなすための正しい知識を習得しましょう。
キャッシングとは個人向けの少額融資のこと
キャッシングを短い言葉で表すとすれば、「個人向けの少額の融資」のことを指します。
キャッシングという言葉は、現金という意味を持つ英語の「cash(+ing)」が語源で、お金を融通してもらうこと、つまりお金を借りることを指すもので、銀行や消費者金融会社からATM等を通じてお金を借りるサービスの総称です。
クレジットカードに付帯しているキャッシングサービスのことを単に「キャッシング」と呼ぶこともあります。ただここでは、カードローンやクレジットカードのキャッシング機能などをひとくくりにした「個人向け少額融資」という大きな概念で説明します。(キャッシングサービスについては「キャッシングとカードローンの違い」のページで詳しく解説しています)
キャッシングの最大の特長が、基本的に無担保・保証人なしで契約でき、利用限度額の範囲内で繰り返し、使いみち自由にお金を借りられること。申し込みから融資までの時間も、自動車ローンや住宅ローンのような目的型のローンに比べて圧倒的に早いことです。
ただ、利用するためのハードルが低い分、借入金利は高めに設定されているので、コストや返済負担にも気を配って計画的に利用することが大事になります。
決められた限度額の範囲内で何度でも借りられ、使い道が原則自由
個人として借りるわけなので、借りることのできる限度額は、企業が融資をうける時のような数百万円とか数千万円といった高額なものではなく、数万円から数十万円といった少額なものが中心です。
数百万円の利用限度額がつくこともありますが、当然のことながら審査ハードルが高くなるので、年収と信用力が高くないと希望しても承認されません。また、年収の3分の1までしか借りられない総量規制というルールもあります。
ただ、一旦利用限度額が決まると、その範囲内で繰り返し何度でも借入れできる点が便利。通常のローンが借入れする度に審査が必要になるのと大きな違いです。
また、自動車ローンや教育ローンなどの目的型の商品と違って、お金の使い道に制約がありません。事業資金には使えませんがそれ以外であれば原則自由に使える点も特徴です。
基本的に無担保・保証人なしで借りられる
キャッシング契約を交わす際は、「無担保・保証人なし」が基本になっています。
つまり、返済できなくなった時を想定した担保をあらかじめ差し出す必要もなければ、身内などを保証人に立てる必要もないということ。担保や保証人を用意できる人が少ないのが実態ですので、無担保・保証人なしはもはや当たり前になっています。
銀行カードローンを契約する際には保証会社がつきますが、銀行側にその仕組みが出来上がっています。借りる側としては金利の中に保証料が含まれているだけで、何か特別な対応は不要です。
ただ、無担保・保証人なしという性質なので、信用で成り立っているサービスとも言えます。貸す側である銀行や消費者金融会社はリスクがあるので、当然、貸し出す相手を見て、「この人だったら貸してもいい」という判断の元でお金を貸すということになります。
その時、基準にしているのが「個人としての信用力」。その信用力が審査で値踏みされます。
融資までのスピードが速い
申し込み後、実際にキャッシングできるまでの期間は、目的型ローンよりも短いです。
住宅ローンなどの目的ローンは、数週間から1カ月くらい審査期間がかかるのが普通。急に思いついて借りるものではない目的ローンでは、その期間でもあまり問題になりません。
その一方で、急な出費を補てんする目的で使われることが多いキャッシングは、審査期間が長かったりすると使い勝手が悪いので、顧客ニーズに合わせて短期間で借りられるようになっています。
融資会社の業態によって差がありますが、消費者金融会社では早くて即日、遅くも1週間以内には借りることができます。銀行カードローンは仕組み上、即日借入れは無理ですが、おおむね2~4営業日で借入れが可能。
このようにキャッシングは、他のローンと比べ、手続きが簡単で早くお金を借りられる商品といえます。
金利が高めになっている
キャッシングの金利は、他のローン商品よりも高い傾向があります。
なぜなら、キャッシングが無担保・保証人なしでお金を貸し借りする取引であり、しかも原則として資金の使いみちを問わないという融資会社にとってリスクがある商品だからです。
リスクに応じて金利が決められるのが常なので、例えば、住宅ローンは年1%前後、教育資金や車の購入等のための目的型ローンは年5%前後といった水準に対し、キャッシングは年10%を超えるのが普通です。
銀行カードローンであれば、年14%~15%、消費者金融の場合であれば、年18%がそれぞれ標準的な上限金利の相場です。
かなり高めの金利になっていますので、利息をおさえて借りたい人には向かない商品です。急場をしのぐための一時的な借金という使い方に適している商品で、長期にわたって借りるのは利息負担が重くなるので適していません。
キャッシングが安心して利用できる商品である理由
キャッシングはとても危険なものといったイメージを持っている人もいますが、サラ金地獄と言われた時代とは違い、現在は法律の改正によって安心して利用できる商品です。
その理由は主に次の3つです。
- 借入れできる金額が年収に見合った金額で制限されているから
- 金利の上限が法律によって制限されているから
- 融資会社の取立て行為が厳しく制限されているから
上記の制限は、融資会社が自主的にやっていることではなく、法律で決められていること。キャッシング利用者が不利益を受けたり、多重債務を負わないような仕組みがありますので、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
融資が年収に見合った金額で制限されている
クレジットカード会社や消費者金融会社などの貸金業者は、貸金業法という法律によって利用者の年収の3分の1を超える融資を禁止されています。(この制限を総量規制と呼んでいます)
この融資できる上限額は、融資会社ごとではなくすべての貸金業者の借入残高を合算した金額です。ですから、1社から借りても複数の会社から借りても、一人あたりの借りられる金額の上限は変わりません。
このルールを破った貸金業者は、最悪なケースになると登録を抹消されて商売ができなくなりますので、厳密に運用されています。
なお、銀行カードローンは貸金業法ではなく銀行法という法律にしばられるため、総量規制の適用対象ではありません。ただ、銀行業界をあげて貸金業者と足並みをそろえるように、融資額の上限を年収の3分の1に制限する自主規制を行っています。
年収の3分の1という借入上限が妥当な金額かどうかの議論はありますが、少なくとも青天井で融資を受けられるような無謀な取引ができないように配慮されています。
金利の上限が法律によって制限されている
キャッシングするときの適用金利は、利息制限法と出資法という2つの法律でその上限が決められています。
法律 | 金利の上限 |
---|---|
利息制限法 | 10万円未満:年20.0% |
10万円以上~100万円未満:年18.0% | |
100万円以上:年15.0% | |
出資法 | 年20.0% |
利息制限法の方は、借入残高に応じて上限金利が三段階になっていますが、上限金利である年20.0%は2つの法律で共通です。
利息制限法では年20.0%を超える部分の利息は無効とされるだけですが、出資法では上限金利を超えた金利で融資を行うと、融資会社に対し懲役や罰金といった罰則があります。ですので、年20.0%を超える金利での融資は絶対にありません。
あるとしたら違法営業する闇金融のみです。闇金については別のページで詳しく解説しますが、まっとうな会社であれば、必ずこの上限金利を守るので法外な利息を取られるという心配はいりません。
融資会社の取立て行為が厳しく制限されている
融資会社による借入金の取り立て行為が厳しく制限されていることも、キャッシングを安心して利用できる理由です。
▼法律で定める取り立ての禁止行為(主なもの)
- 正当な理由なく21時~8時の間に取り立てること
- 大人数で押しかけること
- 自宅以外(勤務先など)へ訪問すること
- 張り紙などで本人以外に借金を知らせる行為
- 暴力的な態度、罵声や暴言
- 家族や第三者への取り立て
- 「他の業者から借りて返せ」と要求すること
※詳しくは「電子政府の総合窓口(e-Gov)/「貸金業法 第21条(取立て行為の規制)」を参照してください
映画やテレビドラマで見るような悪質な取り立ては過去のもので、現在は法律で利用者保護が徹底されています。場所と時間を問わず四六時中、取り立てに追いかけられることはありません。
キャッシングを安心して利用するための注意点
ここまで説明してきたように、キャッシングに関しては法律が整備され、利用者保護のルールが出来上がっています。とはいえ、安心して賢く利用するために欠かせないのは、言うまでもなく利用者本人の自覚と自己管理です。
あまりに多額の借金を抱えたままだと、将来どうしてもお金が必要になったときに、総量規制によって必要な資金を手にできないことにもなりかねません。
また、今の収入が先々も安定して続く保証がない中で、無計画に借りてしまうと返済が苦しくなることも考えられます。最終的には自己管理が大切になってきます。
さらに言えば、無登録で違法な営業を行っている闇金融にも注意が必要です。法外な金利や悪質な取り立てに巻き込まれるのは必至。金銭的に追い込まれると、正常な判断ができずに苦し紛れに闇金に手を出してしまうのが人の弱さです。
そういう場合は、公的な融資制度の利用を考えるなど、冷静な行動が大事です。