プロミスの保証約款刷新を機に、リスクや注意点について確認してみよう
公開日:2019年12月21日
プロミスが保証する提携先金融機関の保証委託約款が刷新されます。2020年3月31日までに契約した場合は、2020年5月1日から新しい約款が適用され、2020年4月1日以降に契約する場合は契約成立日より適用されます。
保証会社の約款はだれも気にしないのが普通ですし、正常な取引が続いている前提では、はっきり言って知らなくても何も問題にはなりませんし、不利になることもありません。
ただ、万一延滞して、それが長期化するような事態になると、この保証約款に基づいて手続きが進行します。その中には借り手にとってかなりダメージの大きい事柄もあります。
そこで、良い機会ですので、そのような事態にならないよう啓蒙の気持ちを込めて、知っておきたい保証約款のポイントを解説します。考えられるリスクや注意点を中心に説明しますが、プロミス以外の消費者金融の保証約款も基本的には同じと考えていただいて大丈夫です。
知らない間に債権者が変わる
そもそも保証会社というのは、貸主である金融機関と借主であるユーザーの間に入り、お金の貸し借りがスムーズにいくよう間をとりもつ存在です。
万一、貸し倒れした際に、保証会社があいだに入って代位弁済をしてくれるからこそ、金融機関はお金を貸しやすくなり、ユーザーも保証会社がいることで保証人なしでお金を借りられるわけです。
普段は保証会社は表に出ませんが、返済が滞ったとに登場します。返済が遅れると金融機関から督促がきますが、返済できない期間が続くと次のステップとして、金融機関が保証会社に対してユーザーに代わって融資残高の返済を求める代位弁済がスタートします。
早い話、金融機関としては、もう手に負えない状態なので債権を買い取ってくれませんか~と言っているわけで、代位弁済がなされるタイミングは、金融機関ごとに異なりますが、おおよそ3ヵ月前後の滞納が基準です。
代位弁済はいちいちユーザーの了解をとって行われるわけではなく、知らない間に実行されます。ユーザーには保証会社から、代位弁済が行われたことを伝える代位弁済通知が送られてきます。ただ、通知されるタイミングは、代位弁済が行われる前ではなく行われた後です。
滞納が長引くと現実から逃げたい心境になって、貸主からのアプローチにも距離を置いてしまいがち。そのため、確認を怠っていると、気が付いたら代位弁済が行われていて、債権者が金融機関から保証会社に変わっていたという事態にもなります。
そのことを指しているのが、保証約款の以下の部分です。
第4条(代位弁済)1.保証会社は、保証委託者に対する通知、催告を要せず、金融機関等に対し被保証債務の全部または一部を弁済することができるものとします。
一括返済を求められる
債権者が保証会社に移って、返済していく相手が変わっただけならいいです。毎月の返済額をどこへ支払うかの違いだけですから。
ただ、実際にはそんな甘いことはなくて、代位弁済によって債権が保証会社に移った場合、保証会社から肩代わりした金額を一括返済するよう求められます。
月々数万円程度を返済することはできても、残債の何十万円、何百万円を用意することなどできるはずがないですよね。
でも、遠慮なく一括返済を突き付けますよ!と言っているのが、保証約款の以下の部分です。
第5条(求償権の範囲)前条により保証会社が金融機関等に代位弁済した場合、保証委託者は、次の各号に定める諸費用等について弁済の責めを負い、その合計額を直ちに保証会社に支払うものとします。
ペナルティーの遅延損害金が日々膨らんでいく
滞納しているわけですので、まとまったお金をねん出することは簡単ではありません。それでも元金だけであれば、何とか工面できるかもしれません。
ただ、「100万円借りていたから100万円返せばいい」ということにはなりません。いうまでもなくペナルティーとして、遅延損害金をとられます。その利率はプロミスの場合、代位弁済した金額に対して年14.6%。
注意すべきは、保証会社が代位弁済した日の翌日から債務の返済が完了する日まで、日々、遅延損害金がふくらんでいく点。
年14.6%といったら、銀行カードローンの標準的な融資金利と同じです。返済できなくなった状況でも、正常に利用していたときとほぼ同じ利息がかかってくるのは相当な痛手になります。
そのペナルティーについて書いているのが、保証約款の以下の部分です。
第5条(求償権の範囲)③ 前二号の金額に対する保証会社が代位弁済した日の翌日から求償債務の履行が完了する日までの年 14.6%(年 365 日の日割計算。ただし、うるう年の場合は年 366 日の日割計算)の割合による遅延損害金の額
最終的には財産の差し押さえが待っている
保証会社に債権が移った後も返済が滞ることになると、最終的には保証会社による財産の差し押さえが実行されることになります。
保証会社からさらに別の会社に債権が移ることはないので、保証会社が見限って法的な最終手段を行使すれば、それを受け入れるしかありません。
信用情報に傷がつく
これまで説明してきたように、代位弁済されて保証会社に債権が移ることのデメリットはいくつもあります。ただ、その後の人生に後遺症を残すという意味で、最大のデメリットが信用情報に傷がついてしまうこと。
お金の貸し借りなど金融に関する取引は、信用情報機関にその履歴が登録されます。車のローンや住宅ローン、分割払いの買い物なども該当するので、ほとんどの人がなにかしらの情報が登録されています。
そういった金融商品をたんに使った記録は問題になりません。問題になるのは事故情報。金融機関から保証会社に債権が移った段階で、長期延滞という事故情報として扱われます。
自己破産も事故情報のひとつですが、罪の重さは別にしても、金融事故を起こした人というレッテルを貼られることでは同じです。
そして、その情報は信用情報機関に加盟しているすべての金融業者が知ることができます。完済しても5年間はその情報が消えないので、その間はどの業者を通じてもローンの類はいっさい利用できないことになります。
まとめ
プロミスの保証約款刷新を機会に、保証会社がからむ銀行カードローン・フリーローンに潜むリスクや注意点を中心に説明しました。
返済が3カ月程度の期間にわたって滞ると、知らない間に債権者が変わって一括返済を求められたり、遅延損害金が日々積み重なる事態になります。なにより信用情報に汚点が残り、人生の節目で必要なローンを組めないこともあります。
保証会社は、間違っても返済できないときの助けてくれる存在と思ってはいけません。無計画でお金を借りること、延滞を軽く見るのは厳に慎みましょう。
(参考)
プロミスが保証する提携先金融機関の保証委託約款の刷新のお知らせ|プロミス公式サイト
https://cyber.promise.co.jp/contents/pdf/20191220_yakkann.pdf